今年一番の展覧会『奇想の系譜』@東京都美術館

2019年4月東京都美術館で開催された『奇想の系譜展』は日本画史上に残る展覧会だと確信しています。奇想系譜は、美術史家辻惟雄が1970年に著した『奇想の系譜』から始まります。一時代一世風靡するも時代の潮流の中で忘れかけていた画家たちを再び世に送り出すきっかけになった本です。今回の展覧会は辻さんの奇想系譜で紹介された岩佐又兵衛(1578~1650)、狩野山雪(1590~1651)、伊藤若冲(1761~1800)、蘇我蕭白(1730~1781)、長澤蘆雪(1754~1799)、歌川国芳(1798~1861)の6人と今回新たに白隠慧鶴(1686~1769)、鈴木其一(1795~1769)を加えた8人の作品群で構成されました。

その時代を代表する日本画を一同に観覧出来る貴重な時間となりました。この会場に宿泊できたらとても気持ちいいだろうと妄想に耽っておりました。中でも蘇我蕭白は、ボストン美術館展で拝見して以来ファンになり、今回もじっくりみようと思いで掛けました。蘇我蕭白の創造性豊かな構図に感動し、今回新たな発見蘆雪の豪快さに微笑んでいました。蘆雪の構図はユニークで絵の見る角度を新しい視点を発見出来ました。

 蘆雪の『白象黒鯨牛図屏風』の中にも迫力とユーモアがあります。蘆雪は、円山派に属した正統派京都画壇で活躍していました。円山応挙の右腕となりますが、徐々に窮屈さを感じ徐々に距離をとっていくようになります。今回の作品群の中にある『なめくじ図』円山派では書けない!こんな絵は蘆雪し描けない。その個性が好きですね。

このなめくじ図は、正統派から程遠いものです。小さい水墨画で、色紙上からなめくじがフェードインしてきて色紙上を這い回りなんとか色紙の外に逃げようとしている絵です。中央にはなめくじの這った跡だけ、、、なんとも変わった絵です。ただ、そこに綺麗な表装が施されていて高尚な席画を思わせます。寄付に掛けたのか本席に掛けたのか書いた蘆雪も超ユニークだし描かせた方も洒落が効いています。小さい作品は作家の本能が伺えて面白いですね。今後も折に触れ奇想の系譜の画家に付いて書いてみたいです。

さらに今年は令和元年の元号変わりがありGWの間、旅に出ました。以前から訪ねたかった兵庫県香住町にある大乗寺に出掛けました。大乗寺は、応挙が住職との縁で襖絵の制作を依頼され一門が長逗留し多くの襖絵があり大乗寺も通称応挙寺といわれます。その中に蘆雪の『群猿図襖絵』(重要文化財)があり4月に東京の奇想の系譜展でその絵を見て再び兵庫の大乗寺で同じ絵を見る機会に恵まれました。大乗寺では、ガラス張りもなく間近で拝見でき猿の毛の流れる様子や息遣い空気感が伝わってきます。大乗寺の佇みも兵庫北部の古刹のひっそりとした佇まいです。土地の空気を感じ円山派の作家が集まり絵を描いている情景が浮かびます。2020年もいろいろな処で芸術と触れ合いたいと思います。

2019年は、大崎市古川地域で行っている子供狂言教室も五年続けることができました。さらに今年は、鳴子地区でも子供教室を開催する事が出来ました。古川地域の外に出ることができとても充実した会になりつつあると感じます。今後ともZANSHIN堂をよろしくお願いいたします。

 

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